こんにちは。あいらです。
早いもので、今回で第5回目となりました。編曲解説シリーズ。そしてイントロ編の最後でもあります。
普段、なかなかこういう形で自分の編曲意図を言語化する機会がないので、非常にありがたいなあと感じるとともに、この記事をきっかけに「楽譜を作る」という行為に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいなあと思っております。
第5回 不協和音は恐れずに使っていこう!
該当箇所: 0:00 – 0:08
演奏動画:
さて、今回は軽めなテーマです。
私は今回、イントロ部分で「ミ ファ# ソ」というハモりを用いています。
これ、一見するとただ汚い和音です。音の間が近すぎて和音にならないためです。
僕が編曲を始めた当初は、「ええ…音がぶつかるとか…あり得ないでしょ…」と思い、楽譜で配置をしたことはありませんでした。
しかし実際に歌ってみると、中音(今回であればファ#)の音量バランス次第では、微妙な均衡を保ちつつ、なんとも緊張感のあるメロディーに仕上がってしまうのです。不思議ですよね。
Lovin’ You にインスパイアされました
そして、「こんな風に音を配置していいんだ!」というブレイクスルーを巻き起こしてくれたのが、Vox Oneさんの Lovin’ Youでした。
※YouTubeに原曲音源がなかったのでPlanariaさんが歌っている音源を貼っておきます。
Lovin’ “You” の裏のコーラス、「ミ♭ファソ」とこれもまた音がもろに近くにあります。でも全然違和感ないですよね?
僕もLovin’ Youをカヴァーさせていただいたことがあるのですが、「あ、こんな風に音を配置してもいいんだ!」と衝撃を受けたことを今でもはっきり思い出せます。
Lovin’ Youについては個人的にニヤニヤするポイントがいくつかあるので、それはまたの機会にご紹介できればと思っています。
音量バランスに注意!
しかし、このようなハーモニーを配置する際には、一つ注意が必要です。それは、音量バランス。
試しに先ほど掲載したLovin’ Youの楽譜をそのままMIDIで流してみましょう。
歌声よりもハモっていないように感じませんか?
それは、MIDIが全ての音を同じ大きさで伸ばしているからです。
是非、原曲を聴いてみてください。意識しないとファの音は聴き取れないはずです。
該当部分の和音はCm(11)であり、ファは邪魔な音なんです。
食べ物で例えると山椒的なポジションです。
うな重にちょっとだけかけてあげると山椒の鼻に抜ける風味がうなぎの旨さを引き立ててくれますが、蒲焼のタレと同じくらいの量をうなぎにかけてしまうと食えたもんじゃなくなる。そんなイメージです。
和音の確認は是非キーボードで!
今は楽譜ソフトで編曲をすることが多いと思います。音とりもMIDIでできてしまう時代です。
しかし、和音感の微妙なバランスはやはり一度ピアノで確認してから楽譜に落とした方がよりイメージがつきやすいです。是非お試しください。
(ピアノは平均律だから正確に響きの確認が出来ないだろう…といった類の話は置いておきます。逆にいい方法があったら教えてください)
次回はどの部分を解説しようか、悩んでいます。順当にBメロを解説するか、それともサビの解説に飛んでしまうか…。もう少し悩もうと思います。お楽しみに!