皆さまこんにちは。あいらです。
とりあえず画像は第1回の使い回しです。ご了承ください。
第2回 アカペラ曲を盛り上げるには”三角形”が不可欠?
では早速第2回の解説も始めていきましょう。
今回もイントロ部分の解説です。
該当箇所: 0:00 – 0:17
演奏動画:
楽譜を眺めてみよう
前回に引き続きイントロ部の編曲解説を書いていきたいと思います。
この部分、楽譜はこのようになっています。
※大人の事情でメロディーラインはぼかしています
さて、この楽譜を見て何か気づくことはないでしょうか?ヒントは音の高さの推移です。
…音源リンクと連載タイトルからだいぶネタバレしていますね。
まあ、楽譜だけを眺めるだけだとわかりづらいですよね。この部分をコーラスだけ、抜き出してみましょう。
そうです、見事に三角形を描いています。
音の幅がゆっくりと広がっていくのです。
前回の記事で同一の動作をすることの不自然さについて書きましたが、それがゆっくりと、しかし確実に崩れていくわけですね。
イントロのイメージ
この部分、私の中では絵を描くときのパレットが想起されます。
ここはとても静かな世界。そして真っ白なパレット。その上に赤、青、黄色の絵の具が整然と並んでいる。
筆によってそっと混ぜられ、だんだんとお互いの色がまじりあっていき、最後は混とんとした黒に近い世界になっていく…。
そして最後にはパレット自体が割れ
そんなイメージですね。
- ユニゾン
- ゆっくりと音幅が広がっていく
- 最後のah + フォルテピアノクレッシェンド
が、それぞれそんな世界観を表していると思いませんか?
曲全体を設計する・意識する
ちなみに、音の高低推移で曲想を作る、というのは私の常套手段です。
今回の解説はイントロ部分の音の開きにフォーカスしましたが、楽曲全体に対しても同様に音高のバランス調整をかけています。
試しに楽曲(Beginner)の最後の部分を聴いてみましょう。
ベースの音程とTopの音程にかなり差がありますよね?
これは意図的に、ラストのサビが映えるように一番音の差が大きくなる部分を最後に配置しています。
ありがたいことに、「あいらの編曲は歌っているだけで自然と気持ちが乗るから歌いやすい」というお言葉をいただくことがありますが、それはこのように曲構造の面から盛り上がりを設計しているからなんです。
アカペラを歌っていると、意識をしていないと曲の構造を掴めないなあ、と思うことが多々あります。
それは、アカペラの楽譜って各パートごとに五線譜が分かれているからです。
個々人の歌うべき音・旋律がわかりやすいというメリットがある一方で、曲全体のダイナミクス、つまり曲全体がどういう動きをしているのかがわかりづらくなってしまっています。
なので、一番上の音と一番下の音がどのような音の動きをしているのかに注目してあげると、より編曲者の意図に気付きやすくなるかもしれませんね!
さて、実はわたくしイントロにもう一つのトリックを仕掛けています。
というわけで次回も冒頭の4小節部分の解説が続きます!はいそこ嫌な顔しないー。
何故こんなに冒頭部の解説が厚くなっているかというと、それだけ編曲者が悩む部分だからです。
僕の体感からいくと、だいたいこれくらいの時間配分で編曲構成を考えています。
冒頭 30%
かっこいいフレーズ 20%
サビ 10%
その他 40%
曲の冒頭はいわば初対面の挨拶です。お客様にこの曲が聴きたいかどうかを判断される場所です。王道のパターンで攻めるのか、はたまたちょっと邪道な始まり方をするのか…。それが冒頭の悩みどころであり、楽しいところでもあるわけです。
というわけでイントロ部分の徒然草、もう少しお付き合いくださいませ。
To Be Continued…
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