皆さま、はじめまして。あいらと申します。
突然ですが、皆さんはアカペラ用に編曲をしますか?
大抵の場合、楽譜を作れる人がバンド内に1人か2人いて、その人が作って来てくれた楽譜を歌う…というのが一般的ではないでしょうか。
私は「楽譜作れる人」カテゴリに分類されることが多いのですが、声を大にして言いたい。
楽譜作るとき、めっちゃ色んなこと考えて作ってるんだぞ!!
ということで、グレゴリーゴリレイで作った楽曲、Beginnerを題材に、編曲者がどういう事を考えながら編曲をしているのか、数回に分けて紹介をしていこうと思います!
※バンドマスターのつねこーに記事を書けと強要されたわけではありません。決してありません。
編曲をしたことが無い人は「編曲してる人ってこんなこと考えてるんだ〜」、編曲経験者は「この手法面白いな…」なんて思ってもらえたら幸いです。
「私ならこう編曲するな!」という意見も大歓迎です!是非コメントをください!
前置きが長くなりました。それでは始めましょう。
第1回 ハモらない方がいい!?ユニゾンの使い方
記念すべき第1回は、我々の処女作「Beginner / AKB48」のアカペラ編曲からのエントリーです。
該当箇所: 0:00 – 0:17
演奏動画:
原曲はこちら。
原曲とは曲の始まりの雰囲気をかなり変えています。
ここでキーポイントとなってくるのはユニゾン。
ユニゾンとは、全員で同じ音を歌うこと。Beginnerの編曲では、確かに全員同じ音で歌っているわけですね。
普通アカペラでは、ハモりといって、全員が違う音を歌って和音を作るのがセオリーです。それをガン無視しているのです。
では、一体私はどんな意図を持ってここをユニゾンを配置したのでしょうか。
ユニゾンの効果とは
その理由を説明するために、私が好きなユニゾンが登場するアカペラ曲を紹介させてください。
ユニゾンの使い方がとても美しいと感じるアカペラ曲として
What Child is this / Eclipse
があります。
この楽曲、エクスタシーを感じてやまないわけです。
冒頭部の旋律の美しさ、それをユニゾンが引き立てています。
そして、ユニゾンがあることによって、ある種の神聖さを感じます。
この神聖さはどこから生まれてくるのでしょうか。
ここからは私の持論ですが、その理由は
全員で同じ動作(旋律)を歌うことは非日常的な行為であるから
であると考えています。
普段我々が生活をしている中で、全員が全く同じ動作をすることなんてありえません。
例えば、「ご飯を箸で食べる」という動作一つとっても、箸の持ち方、口に運ぶご飯の量、咀嚼する回数は全員ばらばらです。それぞれがそれぞれの流儀・作法を持っているわけです。
そんな我々が、複数人で全く同じ動作をする。これは言わば非日常的な行為に当たるわけです。
では、我々は非日常的な現象を目の当たりにした時、どのような感情を抱くのでしょうか。
…そうです、“畏れ”を抱くわけです。
我々日本人の祖先は雷を神様が鳴らすものという意味を込め、「神鳴り」として神格化をしたそうです。雷という非日常的な現象を神格化したわけですね。
ユニゾンの効果 = 非日常感の演出
さて、話がだいぶ逸れてしまいましたが、本題に戻ります。
私がBeginnerの最初にユニゾンを配置した理由。それは、畏れとはいかないまでも、「本当に Beginnerが始まるの?」という不安な感情をお客さまに抱いて欲しかったためです。
そうすることで、お客様は我々に「次は何が起こるんだろう…?」という疑問を持ってくれます。つまり、我々が表現したい世界にお客様の関心を集めることが可能になるわけです。
以上、曲の冒頭部に関する解説でした。実は、イントロ部分に仕掛けがもう一つあるのですが、それはまた次回記事を投稿しようと思います。
それでは、素敵なアカペラライフを!
勉強になります。
ありがとう!
編曲とかをする時の参考になったら幸いですm(_ _)m